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執筆者の写真oryza63

心理学はオモシロイ(2)

この間は心理学との馴初めを書いてみた。

だいたいの経緯は分かってもらえたであろうか?

そこで今回は、それが今の仕事にどんな風に繋がっているか書いてみる。


探偵の初っ端から「精神疾患」が来てから、そっちの方に興味が出ていろいろ調べたり勉強してみたら、そもそも人は微妙ながらも異常性を持っていて、その症状や傾向の出方、出現の仕方がいろいろあるという事を知った。

誰でも、というのは変だが、どんな人でも「転がる」可能性がある。


またそうやって調べていくと「●●をする人は●●がある」といった関連性も見えて来る。

「自己愛が強くて支配的なオヤジは、家でDVしながら浮気相手がいる、何人もいたりする」という方程式のようなものがあったりもした。

100%確実ではないがかなりの高確率である。


「マイルールを作りそれを厳格に家族に押し付ける傾向にある人は、物事への執着や過集中を起こしやすく学習到達レベルが異常なくらい高い事が多い」、というのも分かってきた。


使う言葉や行動傾向、思考傾向もそれぞれ特徴があるが、一つの傾向だけでなくいろいろな傾向の特徴が出て来るのは、それぞれの傾向が同時に現れているから、というのもあった。

だから「アレの傾向」が出始めると「これの傾向」も出現し、それぞれが交互に出る事もあるので「一つの傾向」だけで判断できない。


自分で調べているだけだと学問的というか、そんなに事例は出てこないのだが、その点については依頼人たちがいろいろ教えてくれた。

パーソナリティー障害の家族を持つ人であれば、自分の事例をいろいろ話してくれて、医者の対応についても教えてくれた。

さらに家族会に参加した人は、そこでの事例を話してもくれた。


こうやって調査依頼人や相談者が症例や事例、病名についての知識を与えてくれて補助もしてくれたのである。

こうなってくると学習レベルも上がるし、何よりも細かい事例を知ることができる。

そして別の相談でこういったものを紹介することで、みんなにフィードバックすることができた。


脱線するが、探偵で張込みをしたりしていると依頼人が差し入れしてくれることがある。

近場であれば連絡をくれてから、飲み物やちょっとした食べ物を持ってきてくれたりもした。

ある時はなぜか手作り弁当を持ってきてくれた人もいた。

ありがたいものである。

仕事で受けているとはいえ、人の情けに感謝である。

以前の仕事の時からだが、お客さんや関係した人がいろいろ手助けしてくれることがあって、他人の援助で生きているような感じもする。

心理メンタル問題についても依頼人や相談者であるクライアントが新たな知識を運んでくれている。

一人で勉強するより遥かに得るモノがある。


さてそんなクライアントだが、時として強力な人が出て来る。

うちの場合、調査依頼人が精神科医であったことが力強い。

探偵歴20数年の中で精神科医は20人くらい、そのうち依頼人がそれだったのが15人前後か。

そしてその中には、調査中も調査後もいろいろ知識を与えてくれた人が何人かいる。


オレが依頼や相談で受けるのは、異常者のせいでおかしくなってしまった人だけだが、医者だとオカシナ人自体も診るので別な知見が得られる。

そして加害者・被害者の間で起きる問題についてもたくさん知ることができた。


また雑談で「こういう問題で悩んでいる人が来るんだけど、どうしたいいだろう?」と聞くと、「だったら知り合いを紹介するよ」と言われてカウンセラーとパイプができた。

そこで会った人に「こういう場合はどうしたら良いだろう?」と話していると、「それならこの人紹介するから行ってみな」と言われ、またまた別分野の人と知り合いになって、教えを乞う事ができたのである。

こうやって見ると人間関係の「わらしべ長者」のようである。

べつに「人誑し(ひとたらし)」ではないのだが、巡り合わせが良い方だとは思う。


この頃、だいたい10~15年前であるが、精神科医からカウンセラー、そこから臨床心理士、そして何故か社会福祉士、そして市役所など行政の担当者と繋がっていき、それぞれの分野での話しを聞く事ができ、それぞれの担当での問題点を教えてもらった。


また、クライアントからの依頼で弁護士相談や弁護士事務所への同行同席をするようになったのもこの頃である。

そして警察のDV担当窓口である生活安全課とも繋がった。

ここは探偵の管轄部署でもあるが、ここのDVに関しての考えやルールというのも知ったのである。


DV被害とか精神的被害というと精神科がメインだが、そこでは行政や警察などとの連携は殆どない。

事件性が疑われない限り連携は無い。

さらに離婚や別居となってくると、担当分野が違うので口出ししてこない。

つまり「●●で相談してください」といって追い返されるのがオチである。

この縦割りというのが担当部署ごとの問題でもある。


例えばオレがよく言っている「状況説明、被害時系列を文書や表にする」というのはこの時の対応から思いついたことである。

あっち行ってこっち行って同じ説明するのを目の当たりにして「だったら紙に書いて」それをコピーして渡せばいいのである。

しかも担当者はそれを見ながら質問もでき、時間短縮ができるし、実態を知るのが簡単になる。

行政も警察も弁護士も、説明するのは同じなので1回作れば何か所でも行ける。

しかし、そんな事を教えてくれた窓口や担当者はいなかったのである。

「これ、画期的な発明じゃない?」と自画自賛してしまう。

特に弁護士は「聞く」よりも文字にして「目で見る」方が吸収も理解も早い。



さらにこれには「コツ」があって、分かりやすく端的な表現が必要になって来る。

多くの人は必要ない情報を盛り込んだり、感情が入り込むので分かりにくい。

ここは文章を書くのが得意なオレが添削指導して、分かりやすいモノにできるということで少しは仕事になるのである。


とまぁ、こんな経緯でDVや精神的被害者のサポートをするようになってのである。

各担当を横断的に網羅して、どんな問題でどこを窓口にすれば良いか、何が問題なのかをサポートしたりアドバイスできるようになったのには、こういった経緯というか利用者からの助けや援助があったからなのである。


そしてこういう事をしていたら別な角度からの要望や要請が出てきたので、それに力を傾けるようになってきたのだが、それは次回に書くことにする。







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